LPを1本作るたびに30〜80万円の外注費が発生し、修正のたびに追加見積もりが届く——広告運用に力を入れる中小企業ほど、この構造に悩まされます。年間10本作れば300〜800万円、月次の修正費を合わせると1,000万円を超えることも珍しくありません。「いっそ自社で作れる体制にしたい」と検討するものの、何から手をつければよいか分からない。この記事ではLP制作を自社開発に切り替える判断軸と、外注し続けない仕組みづくりを経営者目線で整理します。
この記事の結論(3行)
- 年間6本以上LPを作るなら、3年で内製化への切り替えが投資回収できるラインに入る
- 内製化の本質はデザイナーを雇うことではなく「テンプレート + CMS + 編集ルール」の仕組みを持つこと
- 全工程を内製化する必要はなく、デザイン基盤だけ外注して制作・修正を内製する「ハイブリッド型」が現実解
なぜLP制作の外注費は積み上がるのか
LP制作を外注し続けると、年間費用は思った以上に膨らみます。1本30万円という見積もりだけを見て発注を続けると、修正・改善・テストといった付随コストが見えにくくなり、気づいた時には年間予算の大半をLP費用が占めている、という状況になります。
- LP1本あたりの「本当の費用」は見積もり額の1.5〜2倍
- 修正のたびに追加見積もりが発生する構造
- A/Bテスト・改善PDCAが回しづらく、効果が頭打ちになる
外注の何が問題かを言語化できれば、内製化で得られる効果が見えてきます。「外注は高い」というあいまいな感覚ではなく、構造として何が損なのかを把握することが、判断の出発点になります。
LP1本あたりの「本当の費用」は見積もり額の1.5〜2倍
外注見積もりが30万円のLPでも、打ち合わせ・原稿作成・素材手配・修正対応の社内工数を加えると、本当の費用は45〜60万円になります。広告運用担当者の時間が制作対応に取られ、運用改善が後手に回るロスも発生します。
修正のたびに追加見積もりが発生する構造
LP制作の本質は「公開してからの改善」にあります。CV率を見ながら見出し・画像・ボタン位置を月3〜4回調整できるかが効果を左右します。しかし外注では1修正あたり3〜10万円の追加見積もりが発生し、月10万円程度の保守契約に収まらない場合が大半。改善頻度が落ち、効果も頭打ちになります。
A/Bテスト・改善PDCAが回しづらく、効果が頭打ちになる
A/Bテストでパターンを2〜3個並走させたい時、外注だと1パターンあたり10〜20万円の追加費用がかかり、テスト本数が抑制されます。CV率を1.5%から3.0%に引き上げるには月5〜10パターンの検証が必要で、外注ベースではこの本数が確保できません。内製化すれば工数だけで量産でき、効果の頭打ちを突破できます。
LP内製化の損益分岐点を年間制作本数で整理
LP制作を内製化すべきか外注のままで良いかは、年間制作本数によって変わります。代表的な3パターンで損益分岐点を整理します。
| 年間本数 | 外注時の年間費用 | 内製化の年間費用 | 投資回収期間 | |---|---|---|---| | 3〜5本 | 90〜400万円 | 600〜800万円 | 回収困難(外注継続が合理的) | | 6〜10本 | 180〜800万円 | 700〜900万円 | 2〜3年で逆転 | | 11〜20本 | 330万円〜1,600万円 | 800万円〜1,200万円 | 1年以内で逆転 |
年間6本以上作る企業から、内製化の投資回収が現実的になってきます。逆に年間3〜5本程度であれば、無理に内製化せず外注のまま「修正費を交渉する」「制作会社を分散する」工夫の方が合理的です。自社が損益分岐点のどこにいるかを業務改善・システム見積もりAI適正診断で確認できます。
年間3〜5本の場合は外注継続が合理的
LPを年間3〜5本しか作らない企業は、内製化の固定費(人件費・ツール費)を回収するだけの本数が出ません。この場合は外注のまま、複数の制作会社と関係を作り、案件の難易度別に発注先を分けるアプローチが現実的です。値引き交渉よりも、修正回数の事前合意・追加見積もりの単価表の取り決めなど、運用面の整備に注力した方が効果が出ます。
年間6〜10本の場合は2〜3年で逆転
年間6〜10本のレンジでは、内製化の初期投資(テンプレート整備・CMS導入・人材育成)が2〜3年で回収できます。フル内製にこだわらず、デザイン基盤だけ外注し、制作・更新は社内で回す「ハイブリッド型」が現実的です。社内の広告運用担当者が直接LP修正できるようになれば、改善サイクルが週単位に短縮され、CV率改善も加速します。
年間11本以上は1年以内で逆転、内製化必須
年間11本以上作る企業は、外注のままだと年間1,000万円以上をLP制作に支払う計算になり、内製化の投資回収は1年以内に収まります。このレンジは内製化必須と考えてよく、専任のデザイナー・エンジニア1〜2名を抱える方が総コストも下がります。経営者の判断としては「採用と仕組み投資にコミットするか」が問われる段階です。
内製化の本質は「テンプレート + CMS + 編集ルール」
LP制作の内製化というと、デザイナーを雇用する話に直結しがちですが、本質はそこではありません。内製化の本質は、誰が触っても一定品質のLPを量産できる「仕組み」を持つことです。
具体的には3要素で構成します。第一に、5〜10パターンのLPテンプレート。第二に、原稿・画像・文言を非エンジニアが差し替えられるCMS基盤。第三に、「タイトルは30字以内」のような編集ルール。この3点が揃えば、デザイナー1名 + 広告運用担当者1名で月3〜5本のLPを量産できます。
ぷらすわんが伴走する企業でも、まずデザイン基盤と編集ルールを外部で整備し、その後は社内で回す形を勧めます。デザイナー雇用は本数が安定する2〜3年目以降で十分。仕組みが先、人が後の順番が、内製化の失敗を減らす王道です。仕組みの設計から診断することができます。
経営者目線で考えるLP内製化の判断軸
経営者が内製化を判断する指標は3つです。第一に年間LP制作本数の3年見込み。第二にCV率改善で得られる広告効果の上振れ額。第三に「広告運用担当者の運用時間」の価値です。
特に3つ目が見落とされがちです。LP外注では運用担当者が「制作対応の連絡係」になり、本来の運用改善業務に時間を割けません。内製化すれば自分で気になる箇所を即修正でき、運用改善の質と速度が上がります。この効果を含めれば年間6本程度でも黒字化が見える場合が多くあります。
「自社で作れる体制が欲しい」ではなく「年◯本作る前提で◯%のCV率改善を狙う」と数字に落とし込めば、意思決定がブレなくなります。
ぷらすわんの実例:ai-sakuで実装したLP量産基盤
ぷらすわんが手がけた「ai-saku」の事例をお伝えします。ai-sakuはAI関連の自社サービスで、市場相場では700〜1,500万円規模の案件を500万円規模で立ち上げています。
このプロジェクトでは、サービスサイト本体に加え広告流入用のLP量産基盤も構築しました。Next.js + Supabase構成で、原稿・画像・CTAだけを差し替えれば新規LPが30分で公開できます。広告ターゲット別に5パターンを並走させ、CV率を毎週検証しながら最適化する体制が回せています。
外部発注し続けた場合は5パターン × 月3回 = 月15本の修正で年間1,500万円規模の費用でした。仕組みを先に作ったことで社内工数に置き換え、改善サイクルも週単位まで短縮できました。LP量産の仕組みを整えたい方は、現状を項目別に整理してから判断する流れをお勧めします。
まとめ
LP制作を外注し続けるか、自社開発体制に切り替えるかは、年間制作本数で判断します。年間3〜5本なら外注継続、6〜10本ならハイブリッド型、11本以上なら完全内製化が損益分岐点の目安です。内製化の本質はデザイナー採用ではなく、テンプレート・CMS・編集ルールという仕組みを先に作ることにあります。
経営者の視点では、本数と効果の数字を発注前に整理し、3年単位の投資回収シミュレーションを行ってから踏み切ってください。仕組みが先、人が後の順番を守れば、LP制作は「外注し続ける固定費」から「社内で運用できる戦略資産」に変わっていきます。